ストロングリターンの馬名の由来とは、テニス用語における「強い返球」のこと。その名の通り、昨年は2着に敗れたこの安田記念(G1)において、レコード樹立という強いレースぶりで、見事にリベンジを果たした。
「昨年秋の富士S(G3)で骨折が判明してからは、牧場で休養させていました。軽度だったこともありますが、当初、予定していたよりも回復が早く、騎乗調教を再開する時間も早く設定することができ、術後から僅か4か月で山元トレセンに移動させることができました」とは社台ファームの吉田哲哉氏。術後、復帰戦となった京王杯SC(G2)で4着と回復ぶりをアピールし、復帰後2戦目にも関わらず、安田記念(G1)では2番人気の支持を集めるに至った。
「獣医師をはじめ、牧場スタッフのケアが万全だったことは勿論ですが、馬自身も本当に良く耐えてくれました。改めてこの勝利を振り返ると、京王杯SC(G2)を使えたことが大きかったと思います」(吉田氏)
2歳時、3歳時に1勝だった馬が、骨折による休養を挟みながらのG1制覇。社台ファームの生産馬には回り道をしながらでも、その後、頂点に上り詰める馬が多く見られるが、それは馬の成長にあった育成調教と使い出しの時期、そして能力が開花するまで大事に管理していることがあげられる。それを地でいく活躍を見せたのが、ストロングリターンではないだろうか。
「馬が完成するまでの間、慎重にローテションを組んでいただいた堀調教師の采配のおかげで、G1ホースにしていただけたと思います。レース後は山元トレーニングセンターでリフレッシュに入っていますが、さらなる進化を期待しています」(吉田氏)
6歳とはいえども、レースレコードを樹立したように、まだまだ完成途上にあるのは明らか。今後、ストロングリターンは芝短距離界において、絶対的な強さを持った馬として君臨していきそうだ。
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