Quantcast
Channel: 重賞ウィナーレポート - 競走馬ふるさと案内所
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1943

七夕賞 G3

$
0
0
 真夏の名物レース第48回七夕賞(G3)。サマー2000シリーズの開幕戦でもある同レースには、夏のチャンピオンを目指す馬たち16頭による熱い戦いになった。  ハンデ戦らしく、ゴールでは5頭が横一戦となるような激戦を制したのは中団やや前目の位置取りから積極的なレースをした14番人気のアスカクリチャンだった。逃げ粘ろうとするミキノバンジョーを交し、追い込むトーセンラーの追撃をしのいで2分1秒1で優勝。デビュー以来25戦目の嬉しい重賞初優勝となった。  同馬を生産したのは新冠町のつつみ牧場。新冠町のサラブレッド銀座の中ほどに位置するこの牧場は約10町歩の土地に繁殖牝馬5頭。堤俊昭代表は牧草の収穫の合間にテレビで応援していた。  「休み明け、実績のない距離ということもあって人気はありませんでしたが、内田騎手を手配してくださったのだから良いところがあるのだろうと思っていました。それに、この馬は、デビュー以来、ほとんどのレースで4コーナーの位置よりも前に来るんです。今回は良い位置で4コーナーをまわりましたので、力が入りました」という生産者の期待通り、直線に入ると史上初めて中央、南関東の両三冠レースを制したジョッキーの叱咤激励に応えるようにしっかりと伸びた愛馬は先頭でゴールへと飛び込んだ。「終わってみればハナ差でしたが、自分でも意外なほど冷静にレースを見ることができました。牧場としても中央競馬の重賞勝利は初めての経験です。この馬を見守ってくれた馬主さんや育ててくれた厩舎関係者に感謝したい」と言葉を選びながらコメントしてくれた。  牧場時代のアスカクリチャンはバランスがよい一方で小さく、目立たない馬だったというが、2008年のオータムセールで売却した。「日高が元気を取り戻すには、せり振興は欠かせないと思っています。セール出身馬として重賞に勝ったのだから、少しはせり振興に役立てたのかな、という気持ちはあります」と少しばかり胸を張った。  殊勲の母ローレルワルツもつつみ牧場の生産馬だ。大きなタイトルには恵まれなかったがローレルレーシングの所属馬として福島競馬場の特別レースを含み、JRAで3勝を記録して牧場に戻ってきた。「小さな馬でしたが、ほとんど休みなくタフに走ってくれた馬で、牧場にとっては思い出に残る1頭でした。ずっと大切にしたかった」と懐かしむ。残念ながら後継繁殖牝馬はたった1頭だけの残して早世してしまったが、その1頭はつつみ牧場で繁殖生活を送っている。  「アスカクリチャンの祖母にあたるスワンスキーを著名な血統評論家の先生から預かったのがきっかけでした。先生にも感謝です」。重賞2着5回シグナスヒーローの母でもあるスワンスキーは、つつみ牧場に移動してきたあともローレルワルツほかブラックトルネード(中津記念)などを送り出してブラックタイプに厚みを加えている。  「今年は、ダービー(G1)も天皇賞(春)(G1)も新冠産馬でした。そうした勢いに恵まれたのかもしれません」と笑いながら「やっぱり勝利したことは嬉しいです。色々な人のおかげで現在のアスカクリチャンがいると思いますが、やっぱり家族に感謝の言葉を伝えたい」と最高の笑顔でレースを振りかえってくれた。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1943

Trending Articles