京成杯(G3)を優勝したフェイムゲーム。ノーザンファーム空港牧場で厩舎長を務める樋口正春さんは、半兄であるバランスオブゲームにも騎乗した経験があった。
「バランスオブゲームは、こちらに休養に来ていた時に何度か調教で跨っていました。さすが重賞馬という背中をしていましたし、古馬ということもあって完成度も高く、これが走る馬なんだなあと感じていました」(樋口さん)
縁があってそのバランスオブゲームの半弟となるフェイムゲームが、自らの厩舎に来たこととなるが、兄の背中を知るばかりに、乗ったばかりの頃は違和感を覚えていたという。
「全然違っているという印象でした。見た目にもフェイムゲームはコロッとしていて、しかも馬っけも強いなど、子供っぽいところも多く、バランスオブゲームと比較するわけにはいかないのかなとも感じていました」(樋口さん)
それでも走りには力強さもあり、調教内容だけを見るなら十分に合格点をあげられる動きをみせていたフェイムゲームには、一つだけ兄にも勝るような長所を兼ね備えていた。
「とにかく真面目な馬で、調教ではいつも頑張って走ってくれていました。体も丈夫でしたし、その意味では競馬向きの馬になれるかもとの期待は持っていました」(樋口さん)
そんな樋口さんに、入厩先の宗像厩舎から思っても見なかったような報告が届く。入厩後のフェイムゲームはめきめきと頭角を現し、宗像調教師も能力を高く評価していたと言うものだった。
未勝利戦を勝ち上がって出走した京成杯(G3)。追い切りの内容こそ良かったものの、オープン馬を含めメンバーが揃ったこともあり、せめて見せ場を作ってくれればとの思いで樋口さんはTVを見ていた。
「まさかあれほどのレースが出来るとはという思いでゴール前は見ていました。あの末脚もどこに隠していたのかと思った程です(笑)。これも成長力があることの証明なのでしょうし、次走は更に強い姿を見せてくれるのではと思っています」(樋口さん)
賞金面でのクラシック出走をほぼ確定させたフェイムゲーム。この右肩上がりの成長力からしても、クラシック本番がますます楽しみになってくる。
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