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Channel: 重賞ウィナーレポート - 競走馬ふるさと案内所
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兵庫サマークイーン賞(GDJ)

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 「グランダム・ジャパン2012」古馬シーズンの第4戦『兵庫サマークイーン賞』を、金沢から遠征してきたロッソトウショウ(牝7歳、金沢・佐藤茂厩舎)が制した。このレースには、昨年の古馬シーズンチャンピオン・エーシンクールディが圧倒的人気(単勝オッズ1.1倍)を背負って参戦。スタートで出遅れながらも、最後の直線で1度は先頭に立ったエーシンクールディだったが、外から鋭く脚を伸ばして並ぶ間もなく交わしていったのが、3番人気(単勝オッズ16.7倍)のロッソトウショウ。7歳にして、嬉しい初重賞制覇を成し遂げた瞬間だった。  ロッソトウショウの生まれ故郷は、北海道新ひだか町静内の名門・トウショウ牧場。オーナーブリーダーとして知られるこの牧場からは、“天馬”と呼ばれたトウショウボーイを筆頭に、シスタートウショウ、スイープトウショウ、シーイズトウショウなど、数々の歴史に残る名馬が誕生している。  「優勝できて本当に嬉しいです。JRA時代は早めに押し上げる競馬を得意としていましたが、金沢へ移籍してから佐藤茂調教師が控える競馬を馬に覚えさせ、それが今回のレースぶりにも現れていました。グランダム・ジャパンに狙いを定めて地方へ移籍してきたので、佐藤調教師も興奮気味に喜んでいましたよ」とコメントを寄せてくれたのは、同牧場の志村吉男場長。  ロッソトウショウは、3歳夏に中央デビューしてから安定したレースを続け、4歳夏には準オープンまで順調にクラスを上げていく。しかし、そこで壁にぶち当たって勝てない期間が長く続き、さらには脚元に故障を発症してしまった。「6歳時に蹄骨を骨折し、その症状から一時は繁殖入りの話もあったのですが、獣医師と相談しながら復帰の道を選びました」と、金沢へ移籍してきた経緯についても教えてくれた。  ロッソトウショウが牧場で過ごした時期の印象について志村場長は、「母系の特徴が出て気の強い馬でした。兄姉はだいたい短距離向きでしたが、この馬は距離をこなせる体型をしていましたね」と振り返る。今回の1800m戦でもバテずにしぶとく前に食らいつき、直線で一気に脚を爆発させたレースぶりは、父マーベラスサンデー(その父サンデーサイレンス)のスタミナをバランスよく取り入れているようにも感じさせる。  ロッソトウショウの母はヌレイエフ産駒のキートウショウ。同牧場オーナーが1歳時に米国のせりで購入し、1997年に福島競馬場でデビュー。しかし、競走馬としてのキャリアはその1戦のみで、引退後にトウショウ牧場での繁殖生活が始まった。18歳となった今年も繁殖を続けており、現在はエンパイアメーカーの仔を受胎中。「母のキートウショウは、とても頑丈で元気いっぱいです。日本に来た当時から威圧感のある馬で、母親になってからは気の強い産駒をよく出しています」と紹介。母系をさかのぼると、日本のダート・トップサイアーに輝いたアフリートの名も出てくる血統だ。  ロッソトウショウの1歳下には、金沢で8勝を挙げて南関東へ移籍したロマニートウショウ(牝6歳、船橋・玉井昇厩舎)が競走馬として現役を続けているほか、1歳には父クロフネの牝馬、当歳には父カネヒキリの牡馬が誕生している。「1歳は芦毛でおとなしく、当歳は気が強くて性格は正反対なのですが、どちらも素晴らしい馬体をしていますよ」と姉の重賞制覇を受け、デビュー前の妹弟にも期待が高まっているようだ。  これまでに12頭の産駒を送り出してきたキートウショウ。うち3頭がトウショウ牧場へ戻って繁殖となり、2番仔のグローブトウショウからは、中央・地方で勝利した産駒が3頭誕生している。7番仔となるロッソトウショウについても、「体型や血統面から、将来は良い繁殖牝馬にもなってくれると思います。どんな産駒が誕生するか、今から楽しみです」と夢を膨らませる。  「重賞を勝つ目標が達成できたので、次はグランダム・ジャパンのシリーズ優勝を目指して欲しいですね」と志村場長。名門オーナーブリーダーが狙いを定めたグランダム・ジャパン古馬シーズンチャンピオンの座。その栄冠をめぐる戦いは、ますます混沌としてきそうだ。

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